唐津ゲストハウス 鳩麦荘
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春に生きた記録

22/3/2021

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東京オリンピックの聖火リレースタートの報道におどろいた2021年春、うららかな朝。
新しい生活様式らしきものにもすっかり慣れ、むしろ親しみというか愛着すら覚えている。大規模イベントなどできるはずもないと、道徳的な解釈でもって捉えていたのだけれど、わたしの道徳は結局のところ現実世界と大きく乖離しているようだ。当然のように2021年夏には開会されるのだろうか。東京に、日本に、どこにもいたくない。

しぶとく生き耐えた一年。
ようやっとわたしが、わたしは、わたしであると思える生活ができている。いろいろなものを失いながら、こつこつ積み上げたこれまでの瑣末かもしれなかった努力と、だけれどもささやかな幸福の時間。経済が大きく回転し始めることで、再び失われることが、正直に怖い。
打鍵しているラップトップ、日差しに反射する画面、わたしの背後を桜の花びらがそよそよと舞っていく。いつ、どこにいても、変わらない生活がほしい。そう嘆きながら、今日もわたしはスマートフォンを手のひらにのせ、他者が生んだ音楽を指ひとつ使って再生する。じりじりとすり減らしていくだけの暮らし。

今月末に借りていたアパートを手放すことに決めた。ひとつ、またひとつと、所有することによって線引きしていた他者との境界を曖昧にしていく。開かれた世界。それはわたしが太極拳を通して見ているものと似ているように思う。心を捉え、百会から丹田へと貫く一本の芯(軸)があり、名門と湧泉へむけて枝分かれし、花開くように外の空間へ繋がっていく。季節によって、天候によって、はたまた環境(土壌、場所)によって花は開いたり閉じたり、ときにはゆれたり散ったりもする。

相変わらずわたしは気の抜けたサイダーのような毎日を過ごしていて、懸命に生きた証など当然持ち合わせるはずもなく、それでも今を生きている。
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